JetBrains IDEのLive Templateを使い倒す

はじめに

この記事はピクシブ株式会社 Advent Calendar 2017の15日目の記事です。
17新卒で、普段はpixiv PAYのサーバーサイドの開発でRailsを書いています。
入社まではJavaをメインに書いていました。昔からIntelliJ IDEAが好きなので、JetBrains IDEのLive Template機能について書きます。

Live Templateとは

よくあるコードのテンプレート機能です。 この機能の面白いところはテンプレート内に変数を置いて、入力を促したり式を埋め込むことができるというところです。
うまく使えば効率的にコードを書くことができるのではないでしょうか!?

新しいテンプレートを追加する

Preferences > Editor > Live Templatesから設定できます。 右上の+ボタンからLive Templateを選択すると新しいテンプレートを作成できます。

設定項目 説明
Abbreviation テンプレートを展開するための文字列
Description 補完候補ポップアップに表示される説明文
Template Text テンプレート
Applicate in ... Live Templateを使える場所
Edit variables テンプレート内の変数を編集するウィンドウを開く

1. 単純なテンプレートを展開する

まずは固定の文字列を展開するテンプレートを作ってみます。

Abbreviation: hello
Description: Hello Worldを出力
Applicate in ...: Java > Statement
Template Text:

System.out.println("Hello World!");

f:id:orekyuu:20171213222508g:plain

2. 変数を使ってn回任意の文字列を標準出力

次はn回の部分と出力文字列を変数にしてみます。テンプレート内で $VARIABLE_NAME$ と言った形式で変数を定義できます。また、同じ変数名を使えば同時に同じ文字列が入力されます。
$END$は特殊な変数で、すべての変数の入力が終わったあとにキャレットが$END$の位置に移動します。次に入力したくなるであろう場所に$END$を書いておくとキャレットの移動が減って便利です。

Abbreviation: each_sout
Description: n回任意の文字列を出力
Applicate in ...: Java > Statement
Template Text:

for (int $VARIABLE_NAME$ = 0; $VARIABLE_NAME$ < $LOOP_COUNT$; $VARIABLE_NAME$++) {
    System.out.println("$TEXT$");
    $END$
}

f:id:orekyuu:20171213223541g:plain

3. 関数を使って補完をサジェストを出す

Edit variablesからダイアログを開くとテンプレート内の変数に対しての設定をするためのダイアログが開きます。ここでIntelliJが用意してくれている関数を使って決められた候補内からサジェストを出したり、変数名を提案させることができます。
どのような関数があるかは公式ドキュメントに説明があるのでそちらを確認してください。 Springで使われるAutowiredを使ったフィールドを作るテンプレートを作ってみます。

Abbreviation: autowired
Description:
Applicate in ...: Java > Decration
Template Text:

@Autowired
private $TYPE$ $VARIABLE$;

Edit variables:

Name Expression Default value Skip if denfied
$TYPE$ className() false
$VARIABLE$ suggestVariableName() false

f:id:orekyuu:20171213225801g:plain

4. enum関数を使ってサジェストする

Javaのような静的型付けの言語ではIntelliJのサポートが手厚くサジェスト系の関数が豊富ですが、RubyMineではサジェストはあまり効きませんし、サジェスト系の関数もほぼありません。しかし、FactoryBotで作ったfactoryやtraitの名前を覚えるのは大変です。
そこでtraitのバリエーションをLive Templateに書いておいて良い感じに補完してくれるようにしました。決められた候補から選択させる場合、enum関数を使うと便利です。JetBrainsのIDEは中間マッチングをしてくれるので「たぶんhogeという文字列含んでたよな・・・」のような状態でもサジェストを出してくれるので、人間が考えることを減らしてくれます。

Abbreviation: create_user
Description: ユーザーを作成
Applicate in ...: Ruby
Template Text:

FactoryBot.create(:user, $trait$)

Edit variables:

Name Expression Default value Skip if denfied
$trait$ enum(":admin", ":anonymous") false

f:id:orekyuu:20171213231638g:plain

5. groovyスクリプトを使う

より高度な補完を行いたくなったときにgroovyScript関数を使うことでgroovyのコードを実行することができます。
第一引数にgroovyスクリプトもしくはスクリプトファイルのパスを指定し、スクリプトに渡したい値があれば第二引数以降に渡します。第二引数以降は$1、$2のような変数に順に割り当てられます。また_editorという変数にcom.intellij.openapi.editor.Editorインスタンスが入っているので、ここから編集中のファイルの情報やプロジェクトの情報が取得できます。
サンプルとして標準関数ではとれない現在編集中のファイルのプロジェクト内でのパスを展開するテンプレートを作ってみました。雑スクリプトなのですが、きちんと書けばrequest specのコメントをうまく補完することができそうです。

Abbreviation: relative_file_path
Description: ファイルのパスを展開
Applicate in ...: Ruby
Template Text:

"$relative_file_path$"

Edit variables:

Name Expression Default value Skip if denfied
$relative_file_path $ groovyScript("長いので下に書きました") true
com.intellij.psi.PsiDocumentManager.getInstance(_editor.getProject())
  .getPsiFile(_editor.getDocument())
  .getVirtualFile()
  .getCanonicalFile()
  .getPath()
  .minus(_editor.getProject().getBasePath())

f:id:orekyuu:20171214004530g:plain

育てたLive Templateを別PCと共有する

実際にコーディングで育てたテンプレートは自宅PCと職場PCの両方で使いたくなります。JetBrainsが出しているプラグインIDE Settings Syncを使うことで同じアカウントに紐付けされた複数のIDEで設定を共有できます。

おわりに

Live Templateは書いて終わりではなく、使いながら不満を感じたら手を加えていくといった運用をすると使い勝手の良いものになっていくかと思います。
明日は@tadsanさんがPHPEmacsの話をしてくれます。2日連続のエディタ記事ですね!お楽しみに!


ピクシブ株式会社ではではエディタにこだわりのあるエンジニアを募集しています!